「次世代システム」への絶望と、逆転の発想
今年(2025年)、セブン-イレブンに「次世代システム」と呼ばれる新しいストアコンピュータが導入されました。 「次世代」という響きに、私は淡い期待を抱いていました。しかし、蓋を開けてみて感じたのは、深い失望と、ある種の確信でした。
例えば、ログインの「顔認証」。 本来なら顔パスで済むはずが、なぜか「従業員番号」の手入力を求められ、その後に顔を合わせるという謎仕様。 また、支給されたiPadは、まるで国宝でも扱うかのように分厚い緩衝材とストラップでガチガチに固定され、機動性は皆無です。
「壊れたら買い替えればいい」という現代のデバイス感覚はなく、「高価な機械だから10年は使え」という昭和の発想。 これは、かつて私が書いた「Windows 95を床の間に飾る世代」の価値観そのものです。
しかし、私はこれを悲観していません。むしろ**「チャンスだ」と思いました。 なぜなら、「本部がここまでAIや最新技術に疎いなら、ここには広大なブルーオーシャンが広がっている」**からです。
なぜ「ブルーオーシャン」なのか
ほとんどのオーナーは、まだこの事実に気づいていません。 「本部が何とかしてくれる」「いつか便利なシステムが降りてくる」と信じて待っています。
断言します。本部はやりません。 なぜなら、彼らは今の「ガラパゴス」なシステムの中で、既に十分に利益を上げているからです。 痛みを伴うDX(デジタルの変革)など、彼らにとっては必要ないのです。
一方で、私たち加盟店はどうでしょう。利益は削られ、現場は疲弊しています。 この「本部(余裕)」と「加盟店(困窮)」の温度差がある限り、本部主導の革命は起きません。
だからこそ、ここに**「空白地帯(ブルーオーシャン)」**があるのです。 周りが気づかず、本部も動かない今、いち早く「自前のAI」を取り入れたオーナーだけが、圧倒的な先行者利益を得ることができます。
本部に「文句」を言うな。「自衛」せよ
ここで重要なのは、**「本部に対して文句を言わない」**ということです。 「システムが使いにくい」「もっとこうしてくれ」と議論するのは時間の無駄です。彼らは変わりません。
本部は変わらない。だったら、私たちが勝手に変わればいい。 与えられた環境の中で、自分で考え、自分で工夫する。 幸い、今の時代は個人でも使える強力なAIツールが安価で手に入ります。戦う武器は既に揃っているのです。
具体的な「自衛」のアクション
では、具体的にどう戦うか。 これまで人間力(気合いと根性)でカバーしていた領域を、徹底的にAIに置き換えることです。
- 「発注の職人芸」を捨てる
- 「明日の天気」「近所の行事」といった変数をAIに入力し、需要予測の精度を上げる。
- ブライアントのようなホームラン狙いの発注をやめ、AIの推奨に従って「負けない発注(イチロー型)」に徹する。
- 「教育」を自動化する
- 何度も同じことを教える時間をなくす。マニュアルやQ&AをAIチャットボット化し、外国人のスタッフでもスマホで即座に答えられる環境を作る。
- 「背中を見て覚えろ」は通用しない。誰でも一定のレベルで作業ができる仕組みを作る。
- 「感情」と「データ」を分ける
- AIは忖度しません。「この商品は売れていません」「このシフトは無駄です」と冷徹に告げます。
- その事実(ファクト)を直視し、感情を排して経費を削る。これこそが、利益を守るための「自衛権の行使」です。
結論:依存しないことこそが、最強の生存戦略
24年前、私はセブン-イレブンのシステムに感動し、この世界に入りました。 そして今、私はAIという新たな武器を手に、もう一度この商売にワクワクしています。
立地が悪くても、競合が増えても、本部が頼りなくても関係ない。 自分の工夫とテクノロジーで、店はいくらでも良くできる。利益は守れる。 その手応えを感じているからです。
これからの時代を生き残るための最も重要なキーワード。 それは**「依存しないこと」**です。
私はセブン-イレブンが大好きです。 私を育ててくれたこの看板に感謝しつつ、決して依存せず、自分の足でしっかりと立つ。 そんな「自立した経営者」だけが、次の25年も、この看板と共に笑って生きていけるのだと確信しています。
(完)


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