あの世界のYAMAHAですら「Excel地獄」だった。…で、御社はどうですか?

社長の着想日誌

衝撃の記事との出会い

先日、ITmedia MONOistで非常に興味深い記事を拝見しました。 あの世界的楽器メーカー、ヤマハ株式会社(YAMAHA)の物流部門におけるDX事例です。

ヤマハ物流部が築いた、「Excel地獄」からの脱却と年間200時間削減の舞台裏 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2512/03/news020_2.html (出典:MONOist 2025年12月03日公開記事)

この記事を読んで、私は「ああ、これは規模の大小に関わらず、すべての日本企業が抱える病だ」と痛感しました。

「数字が合わない」というホラー

記事の中で特に背筋が凍ったのが、この一節です。

「同一のデータを参照しているはずが、担当者によって最終的な数値が異なる」

経営者なら、似たような経験がないでしょうか? 会議で売上報告を受けた時、営業部長の資料と経理の資料で数字が微妙に違う。「これ、どっちが正しいの?」と確認するだけで、会議の時間が浪費されていく。

この原因は、単なる計算ミスではありません。 もっと根深い、**「定義の不在」**です。

「このデータを、どういう条件(定義)で出力するのが正解なのか」 そのルールが共有されないまま、A課長は自分の解釈でフィルタリングし、B係長は別のタイミングで集計し、各自がExcelという自由なツールで加工してしまう。

「定義なき自由」。これこそが、Excelの本当の怖さです。

その結果、会社の中に「唯一の正解」が存在しなくなり、誰も数字を信用できなくなる。 そして経営判断のスピードが致命的に遅れるのです。

その200時間は、本当に「仕事」でしたか?

YAMAHAの物流システム部は、データ基盤を整えることで**「年間約200時間の工数削減」**を達成したそうです。

「たかが200時間か」と思われたでしょうか? いいえ、中小企業にとっての200時間は、大企業のそれとは重みが違います。

仮に、この作業をしていた社員の時給(会社負担コスト)を2,500円としましょう。

2,500円 × 200時間 = 500,000円

年間50万円のコストが、何も生まない集計作業に消えていたことになります。

さらに恐ろしい計算をします。 御社の経常利益率が5%だとしたら、この50万円の利益を出すために、どれだけの売上が必要か。

500,000円 ÷ 5% = 10,000,000円

そう、「200時間の削減」は、「1,000万円の売上アップ」と同等の価値があるのです。

データをダウンロードし、Excelに貼り付け、体裁を整える…。 本人は一生懸命やっているつもりでも、経営視点で見れば、それは**「利益を生まない単なる作業」です。 厳しい言い方をすれば、その時間は「仕事をしている気分になっていただけ」**かもしれません。

AIやシステムを使えば一瞬で終わることに、人間の貴重な人生(時間)を使わせる。 そして、そのコストを回収するために、営業現場に無理な売上目標を課す。 これは経営者として、猛省すべき点ではないでしょうか。

エンジニアがいなくても、現場は変えられる

この記事のもう一つの勇気づけられる点は、**「エンジニア不在」**でも成し遂げたという事実です。

「うちはIT企業じゃないから」 「詳しい社員がいないから」

それはもう、言い訳にならない時代が来ています。 今の時代には、Gemini (ジェミニ) をはじめとする生成AIがあります。 専門的なコードが書けなくても、「こういうデータが見たい」とAIに指示(Vibe Codingなど)を出せば、現場の人間だけでもシステムは作れるのです。

まとめ

YAMAHAのような大企業ですら、泥臭い「Excel地獄」と戦い、現場主導で脱却しました。 小回りのきく我々中小企業が、やれない理由はありません。

「Excelで十分だよ」という現場の抵抗。 「今のままで回ってるから」という現状維持バイアス。

それをねじ伏せ、「いや、未来のためにやるんだ」と決断できるのは、社長であるあなただけです。

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