AIには見えない「行間」と「執念」の話 〜経営者の勘はデータに勝てるか〜

社長の着想日誌

1. AIへの「意地悪な質問」

「おいAI、お前はデータで『無理だ』と言うかもしれないが、俺の長年の勘が『行け』と言っている。これでもお前は反対するのか?」

先日、ふと思い立って、生成AI(私の相棒)にこんな意地悪な質問を投げてみました。 私たち中小企業の経営者は、時に理屈じゃない決断を迫られます。銀行員が首を振るような案件でも、現場の空気や相手の目を見て「これはいける」と感じたら、リスクを背負ってでも踏み込む。それが経営者の仕事だと思ってきました。

2. AIの敗北宣言:「私にはデータしか見えません」

AIの答えは、意外にも冷静で、そして少しだけ悔しいものでした。

「社長、おっしゃる通りです。私には『入力されたデータ』しか見ることができません」

AIは続けました。 従業員の微妙な声のトーン、取引先と握手した時の手の力の強さ、街を歩いていてふと感じる時代の空気感。これらはすべて、数値化されない「非構造化データ」です。AIはこれらを読み取れません。 私たちが「直感」や「勘」と呼んでいるものの正体は、脳内に蓄積された、言葉にもデータにもならない膨大な経験則(暗黙知)が、瞬時に検索されて弾き出された答えなのかもしれません。

3. 経営者の武器:「執念」というパラメータ

そして、AIとの議論でハッとしたのは、次の言葉でした。

「私が算出できるのは『確率』だけです。しかし社長は、『執念』というパラメータで、その確率を後から書き換えることができます」

AIは「A案の成功率は60%です」と予測することはできます。 しかし、経営者は成功率10%のB案を選んだとしても、「選んだからには意地でも成功させる」という行動力と執念で、無理やり確率を100%に変えてしまうことができます。

4. 「分析」はAI、「覚悟」は人間

泥臭く頭を下げ、走り回り、現場を鼓舞して、失敗を成功に変える。これは、計算機には絶対にできない芸当です。

「データ分析」はAIに任せればいい。彼らは疲れを知らず、感情に流されず、冷徹な事実を突きつけてくれます。それはそれで、非常にありがたい。 しかし、そのデータを見て、最後に「覚悟」を決めるのは、やはり人間の仕事です。そして、その決断を「正解」にするために汗をかくのも、人間の仕事です。

5. 確率を覆すために、現場へ

「分析」はAI、「覚悟」は人間。 この役割分担ができた時、私たちは最強のチームになれるのだと思います。

今日も私は、AIがはじき出した「非推奨」の文字を横目に、現場へ向かいます。もちろん、勝算(と少しの根拠のない自信)を持って。

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