AIは責任を取らない。最後に「腹を括る」のは、いつだって社長の仕事だ。

社長の着想日誌

AI(人工知能)は優秀です。 膨大なデータから瞬時に分析し、「A案のリスクは30%、B案のリスクは50%です」と冷静に教えてくれます。 感情に流されず、忖度もしない。参謀としてはこれ以上ない存在でしょう。

しかし、AIには決定的な欠落があります。 それは、**「責任を取る覚悟」**がないことです。

もしAIの提案通りに動いて会社が倒産しても、AIは謝りません。 「申し訳ありませんでした!」と頭を丸めることもなければ、一緒に腹を切ることもない。 逆に大成功したとしても、涙を流してハイタッチし、喜びを分かち合うこともできません。

所詮は計算機。AIは、私たちの「戦友」にはなり得ないのです。

「現状分析」はAI、「最終決断」は人間

では、AIをどう使うべきか。 私は**「役割分担」**だと考えています。

  • AIの役割 = 冷徹な「現状分析」
    • 感情や希望的観測を排除し、データに基づいた「事実」だけを突きつけること。
    • 「社長、今の数字だと、この事業は3ヶ月後に資金ショートします」と、人間が言いにくいことを淡々と言うこと。
    • ここに関しては、人間よりもAIの方がはるかに優秀です。
  • 社長の役割 = 孤独な「総合判断」
    • AIが出してきた冷たいデータに、人間臭い要素(現場の熱量、従業員の顔、取引先との義理人情)を足し合わせて、最後に「えいやっ」と決めること。

データに抗う勇気

AIが「撤退すべきです」というデータを出してきたとします。 それでも、「いや、現場のあの眼を見たら、まだやれるはずだ」と判断してアクセルを踏む。

あるいは逆に、AIが「GOサイン」を出していても、「なんとなく虫が好かない」という直感でブレーキを踏む。

この、データを超えた**「非合理な決断」**こそが、経営者の仕事ではないでしょうか。 AI全盛の時代だからこそ、計算だけでは弾き出せない「人間の意思」の価値が高まっています。

孤独を愛せるか

AIが賢くなればなるほど、私たちは「正解っぽいもの」を安易に手に入れられるようになります。 すると逆に、「AIの言う通りにしなかった時の恐怖」も増していきます。

「AIはこう言ってるのに、お前の勘で決めるのか?」と。

それでも、最後に責任を取るのは自分ただ一人。 その孤独と恐怖を受け入れ、泥をかぶる覚悟を決める。 それができるのは、AIではなく、生身の人間である社長だけです。

AIにのめり込みすぎるのも危険。 かといって、感情論だけで判断を曇らせるのも危険。

AIという「最強の分析屋」を横に置きながら、最後は自分の心に従って腹を括る。 そんな**「AIと共存する覚悟」**を持った経営者だけが、次の時代を生き残れるのだと思います。

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