「本当に回ってますか?」業務委託の“見えない行動”を、日報とアプリ連携で「資産」に変えた話。(S社の事例)

現場介入記録

1. 若き社長の悩み。「成果報酬の落とし穴」

今回のご依頼は、太陽光発電と蓄電池の訪問販売を行う「S社」様からです。 社長は非常に若く、エネルギッシュな方ですが、日々の業務に忙殺されていました。

S社の営業マンは、社員ではなく「業務委託」、つまり個人事業主として契約しています。 給料は完全な「成果報酬」。売れば売るほど儲かる仕組みです。

一見、合理的に見えます。会社は固定費のリスクがない。営業マンは実力次第で稼げる。 しかし、社長にはある「ジレンマ」がありました。

「彼らに、もっと数を回ってほしいんです。でも、強制的に『行け』とは言いづらい契約でして…」

2. 形骸化する「日報」

成果報酬の営業マンは、当然「契約」というゴールだけを見ます。 しかし、会社としては、その手前にある「訪問件数」という母数を増やしたい。喉から手が出るほど、地域をくまなく回ってほしいのです。

従来の日報で「今日は何件回りました」と報告があっても、それが事実かどうか確認する術はありません。 「回りました」と書いて、実はカフェで休んでいるかもしれない。 かといって、GPSで常に監視すれば、彼らは「信用されていない」と反発し、辞めてしまうかもしれない。

そこで私に求められたのは、**「日報と連携する、新しい営業管理アプリ」**の作成でした。

3. 解決策は「写メ」と「GPS」の連携

私が提案し、開発したのは極めてシンプルなWebアプリです。 これを、既存の日報システムと連携させました。やることは一つだけ。

「訪問した家の前で、スマホで写真(写メ)を撮る」

これだけです。 仕組みはこうです。

  1. 営業マンが現場でアプリを開き、家を撮影してアップロード。
  2. システムが「画像」と同時に、スマホの「GPS位置情報」を取得。
  3. これが自動的に日報データと紐づき、「訪問実績」として記録される。

これなら、日報を書く際に「どこに行ったっけ?」と思い出す必要もありません。 そして何より、**「現地に行かなければ写真は撮れない」**ため、日報にこれ以上ない確実な「証拠能力」が加わります。

4. 導入の結果:訪問数も「評価」になる

このアプリを入れてから、状況は激変しました。 文字だけの「読まれない日報」が、写真と地図で可視化された「見える日報」になったのです。

社長は、「サボっていないか?」と疑う必要がなくなりました。送られてきた写真を見れば一目瞭然だからです。

そして何より大きな変化は、**「訪問件数もインセンティブ(報酬)として評価されるようになった」**ことです。 「契約が取れなければゼロ」ではなく、「確実に足を使って回った努力」が、アプリのデータによって証明され、それに対して対価が支払われるようになったのです。 これにより、営業マンのモチベーションは劇的に向上しました。

5. まとめ:現在も進行中の改革

今回のアプリ開発で使った技術は、決して最先端のものではありません。 しかし、若き社長の「行動量を可視化し、正当に評価したい」という切実な課題を解決するには、これが最適解でした。

高機能な営業管理ツール(SFA)を導入しても、入力が面倒で使われなければゴミになります。 現場の日報業務に自然に溶け込む仕組み。それこそが、中小企業に求められる「泥臭いDX」なのです。

また、私とS社社長との取り組みはこれで終わりではありません。 これ以外にも、様々な業務改善のご提案を受けており、現在、実用化に向けて試行錯誤している最中です。 また成果が発表できる段階になりましたら、ここで共有させていただきます。

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