はじめに:世の中が「優しさ」を強要していた時代
時計の針を少し戻しましょう。2010年代前半。 書店に行けばピーター・ドラッカーの『マネジメント』が平積みされ、『もしドラ』が社会現象になっていた時代です。
「人間尊重の経営」 「従業員のモチベーションこそが企業の力」
世の中はそんな「優しい言葉」で溢れかえっていました。 メディアやビジネス書では、従業員の不満や悩みをすべて受け止め、モチベーションを巧みにコントロールしてやる気を引き出す経営者こそが、**「器が大きい」「懐が深い」**と称賛されていました。
私は経営者の端くれとして、その風潮を横目で見ながら、誰にも言えない強烈な「劣等感」を抱えていたのです。
「俺は器が狭い人間なのか?」という葛藤
正直に言います。私にはそれができませんでした。 本を読んでも、講演を聞いても、どうしても腹に落ちない。
「仕事なんだから、やる気は自分で出すのが当たり前だろう」 「なんで給料を払う側が、もらう側のご機嫌を取らなきゃいけないんだ」
そんな本音が喉まで出かかっては、飲み込む日々。 世間の理想像と、自分の本能的な感覚があまりにも乖離していました。
「周りの社長はみんなできているのに、俺だけができない」 「俺は、従業員の気持ちを汲んでやれない、器の狭いダメな人間なんじゃないか?」
あの頃は本当に悩みました。自分のリーダーシップに自信が持てず、自分が「時代の敗北者」のように思えてならなかったのです。
識学が教えてくれた「救い」
そんなある日、私は**「識学(しきがく)」**という考え方に出会い、雷に打たれたような衝撃を受けました。 そこには、私の悩みを一刀両断する言葉が書かれていました。
「モチベーション管理は不要である」 「モチベーションとは、部下が自分で勝手に上げるものであり、上司が関与する領域ではない」 「評価(物差し)は、上司が完全に決めるものである」
読んだ瞬間、目の前がパッと明るくなりました。 「これだ! 俺が感じていたことは間違っていなかった!」
私が苦しんでいたのは、「器の大小」の問題ではなかったのです。 組織運営における「機能」として、上司が部下の感情に介入すること自体が間違いだったのだと、識学は論理的に証明してくれました。 あの時の「救われた」という感覚は、今でも忘れられません。
私の「本当の罪」は、ルールを隠していたこと
しかし、識学を学ぶにつれて、私は過去の自分にあった「本当の悪かった点」にも気づかされました。
私は「俺の物差し」を持っていました。本能的に「評価するのは俺だ」と思っていました。 ですが、自信がなかったからでしょうか。その物差しは私の頭の中にしかなく、標準化されていなかったのです。
「今日は頑張ったからOK」「あいつは事情があるから多めに見よう」。 情に流され、**「例外」**を認めてしまっていた。 基準を公表せず、その場その場の感情でブレた判断をしていた。
これでは、従業員から見れば「社長の気分次第」「エコヒイキ」に見えて当然です。 私が反省すべきは「優しくなかったこと(器の狭さ)」ではなく、**「ルールを公表せず、例外だらけにしていたこと(ルールの不備)」**だったのです。
ドラッカーが間違っているわけではない
ここで誤解していただきたくないのは、「だからドラッカーは間違っている」「識学だけが絶対に正しい」と言いたいわけではないということです。
ピーター・ドラッカーは偉大な学者であり、彼の理論(人間尊重のマネジメント)で大成功している企業も世界中にたくさんあります。 モチベーション管理を徹底し、家族のように温かい組織を作ることで、素晴らしい成果を上げている経営者も知っています。
そう、「道具」に良し悪しはないのです。 ドライバーが間違っていて、ハンマーが正しい、なんてことはありません。 重要なのは、**「それを使う人間(社長)に合っているかどうか」**だけです。
100人の社長がいれば、100通りの「正解」がある
経営者が100人いれば、100通りの価値観があり、100通りの「正解」があります。
天性の「人たらし」で、誰とでも心を通わせ、背中で引っ張れる器の大きな社長なら、ドラッカー流が「正解」でしょう。 しかし、私のように、不器用で、感情に流されやすく、それゆえに悩みすぎてしまうタイプの人間には、その方法は「毒」になります。
私は、自分の弱さを認めました。 「私は聖人君子のような器の大きな経営者にはなれない」と。
だからこそ、私は**「識学」という論理を選び、そして「AI」**というシステムを選んだのです。 感情を持たないAIに「物差し」を委ねることで、私は自分の弱さを補完し、初めて従業員に対して「公平」になることができました。
結び:選ぶのは、あなただ
世の中には無数のマネジメント論が溢れています。 「これが最新だ」「これが正解だ」と煽る声も聞こえてきます。
でも、惑わされないでください。 万人に共通するたった一つの正解なんてありません。
あるのは、**「あなたの価値観で、あなたが決める」**という事実だけです。 識学を選ぶもよし。ドラッカーを選ぶもよし。あるいは、全く新しい独自の方法を選ぶもよし。
それを決める権利と責任は、すべて社長であるあなたにあります。 私は悩み抜いた末に、「AIと識学」を選びました。
さて、あなたは、何を選びますか?

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